運動負荷心肺機能検査
検査の目的
- 心疾患の有無や程度の判定
- 呼吸困難(息切れ)の原因診断
- 運動処方の作成(適切な運動強度・種類の設定)
- 運動能力(体力)・トレーニング効果の評価
検査方法と評価
- 心電図、血圧計、呼吸分析用マスクを装着してトレッドミル(ベルトコンベア)もしくは自転車エルゴメータ(固定式自転車)で運動をしていただきます。安静時の測定後、少しずつ運動を強くし、足がきつくなるか、息切れや胸痛が強くなった時点で運動を中止します。
- 運動中の呼吸分析(酸素摂取量および炭酸ガス排出量測定)により、最大酸素摂取量、嫌気性代謝閾値を算出します。また、心電図・血圧などの変化を観察することにより、心疾患の有無や程度がわかります。
- 最大酸素摂取量は、単位時間あたりに取り込むことのできる最大の酸素量で、この値が高ければ高いほど、より強い運動をする能力を持っていることになります。もっとも代表的な体力指標であり、加齢に伴い減少し、一方、適切なトレーニングによって増加することが知られています。従来、アスリートの運動能力やトレーニング効果の指標として用いられてきましたが、最近では、心疾患リスクや死亡率との関連が注目されています(最大酸素摂取量が低いほど、疾患・死亡リスクが高い)。
- 嫌気性代謝閾値は、酸素不足にならずにエネルギーを産生できる限界の酸素摂取量(運動強度)で、通常、最大酸素摂取量の60〜70%に相当します。これ以上の運動強度では、酸素摂取量は増加するものの、酸素を用いたエネルギー産生が間に合わず、不足分は酸素を必要としないエネルギー源である乳酸系の代謝によってまかなわれます。しかし、筋肉中の乳酸が増加すると筋肉疲労や筋肉痛が生じ、さらに一定の値を超えると筋肉は収縮しなくなります。
- 心疾患や生活習慣病に対する運動療法では、嫌気性代謝閾値における心拍数を目標とします。この強度以内であれば、長時間運動を続けることができ、疲労が残りにくく、不整脈や血圧上昇なども起こしにくいので、安全かつ効果的です。
- これらの結果は、運動処方箋としてお渡しします。この結果を目安に、ウォーキング、ジョギング、スポーツクラブでの運動等を実施してください。
検査を受けられる方へ
- 汗ばむ程度の運動をしていただきますので、運動のできる服装(運動パンツ、Tシャツ、運動靴など)をご持参ください。
- 検査時、極端な空腹や食事直後は避けてください。
- 検査時間は約30分です。